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ジャズに関する全ての事を題材にしたエッセイ。
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大学時代、友達が「すっごくいいピアノのレコードを貸してやろう」と、ハンプトン・ホーズのレコードを貸してくれた。

その時に初めて彼の演奏を聴いたわけだが、最初の印象は、「納豆みないにねばっこい」というものだった。

しかし何度か聞くうちに、完全に彼の「こてこて」のブルージーなピアノのとりこになった。
この人のまとわりつくようなブルースフィーリングは、独特のものがある。

この小気味の良いスタイルは、ハンプトン・ホーズにしか弾けないピアノだ。
他に彼のように演奏する人を聴いたことがない。

その後、完全にファンになった僕は、日本やアメリカで彼のレコードやCDを見つけ次第買いあさっていた。
最近でこそ、CD屋にもあまり行かなくなったのが、以前はCD屋に行った時には必ず、まだ聞いたことのない彼のアルバムがあるかチェックしていた。

彼の作品のなかでは一般に、「ザ・トリオのボリューム1,2,3」が有名で人気がある。

       

このシリーズは僕も大好きだ。

しかし「ハンプトン・ホーズが結構好き」という人にはたまに会うが、「ハンプトン・ホーズがジャズピアニストの中で一番好き」というジャズファンにはまだあったことがない。

彼は兵役の間、日本にも滞在していたらしく、地元のミュージシャンとの交流もあったという。
日本のミュージシャンからは「ウマさん」の愛称で親しまれていた。ラストネームの「ホーズ」を日本では馬の「ホース」と解釈したためだと言われている。

彼はキャリアの途中、麻薬中毒で入院していたらしく、復帰したあとの演奏は往年のガツガツした感じがなくなり、すこし丸みを帯びた、甘い演奏スタイルになった。

そんな晩年の作品中で僕が一番好きなアルバムが、東京で録音された、「ザ・チャレンジ」。

ピアノソロの作品だが、甘すぎることなく、彼独特のブルースフィーリングが熟成した形で現れている。演奏から「気合」がひしひしと伝わってくる。

残念ながら、このアルバムはレコードでしか持っていないので、レコードプレーヤーの無い今は、聞くことができない。



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前回に引き続いて今回もフランスのジャズを紹介します。
今回はボーカルです。

ジャズにはミュージシャンに好んで繰り返し演奏されるスタンダード曲というのが多くあります。

これらスタンダード曲の数々はどこから来るのかというと、映画のテーマ曲だったり、ブロードウェイミュージカルの曲だったり、ジャズミュージシャンの作曲だったりします。

それ以外にもフランスのシャンソン、ブラジルのボサノバなどの名曲もスタンダード曲としてとりあげられます。

シャンソンからの名曲としては「枯葉」「ばら色の人生」「セ・シボン」「ラ・メール」などがあります。

当のフランスでは「シャンソン」はもう古臭い音楽という風に捉えられているようです。
モンマルトルにある「ラパン・デ・アジル」というライブハウスで、日本人やアメリカ人の観光客相手に細々とやっている感があります。


シャルル・トレネー 「ポートレイト オブ シャルル・トレネー」

今聴くと、アレンジがちょっと古臭い感じの曲が多いのですが、「Que Reste-T’il De Nos Amours?」は今でも充分に感動できる名曲です。

しかしこれらの古臭く感じられるアレンジの曲も、ジャズ風にアレンジするとまた聴きやすくなります。

これは例えて言うなら「古くなった古民家を柱や梁などの基本構造だけ残して、今風に住みやすくリフォームする」という作業に似ているといえるかもしれません。

パトリシア・カース 「ピアノ・バー」



そんな時代遅れともいえる「シャンソン」を今風に歌うのがパトリシア・カースです。
ジャズとはちょっと違いますが、彼女のスタイルは、例えば「ムーラン・ルージュ」のようなパリのキャバレーで熱唱する姿がしっくりと似合いそうなイメージなのです。

クレモンティーヌ 「カフェ・アプレミディー クレモンティーヌが選ぶボサノバ」



彼女はお父さんがフランス有数のジャズレコードコレクターであり、インディペント・ジャズレーベルのオーナーでもあります。幼少時代に前回に紹介したフランスにピアニスト、ミッシェル・サダビーからレッスンを受ていたそうです。

彼女はボサノバが好きなようで、お洒落で小粋な感じがするボーカルを聞かせてくれます。





今回はフランスのジャズピアニストを紹介しましょう。

フランスのジャズピアノといえばまず

  ミッシェル・ルグラン  

でしょう。

ミッシェル・ルグランは映画音楽の作曲家としても有名なジャズピアニストです。
カトリーヌ・ド・ヌーブ主演のミュージカル映画「シュルブールの雨傘」のあの有名なテーマを作曲した人です。

ピアノの腕もテクニックは一級でチェット・ベイカーばりのスキャットも聞かせます。
この人のピアノは速弾きの中にも少しブルースフィーリングに満ちたパリのエスプリが
感じられる演奏です。

ジャズではなによりも演奏にその人のオリジナリティというものが求められるのですが、
ミッシェル・ルグランの演奏には彼にしかない独特のオリジナリティがあります。

10年近く前、ニューヨークのブルーノートで彼のライブを見る機会がありました。
前述の「シュルブールの雨傘」を、ボサノバ風、タンゴ風などいろんなバージョンで演奏
して観客を楽しませていました。

晩年は前回紹介したバイオリンのステファン・グラッペリやキューバのトランペッター、
アルトゥロ・サンドバルなどとの競演アルバムも発表しています。
   



 ミッシェル・ペトルチアーニ

先ほどのミッシェル・ルグランと同じ「ミッシェル」というファーストネームを持っています。
ミッシェル・ペトルチアーニはイタリア系のフランス人のジャズピアニストです。

彼は骨の発育が止まってしまう病気のため、いわゆる小人のような身長でした。

しかし、彼の演奏はその体つきからは想像もできないような力強い粒のそろった
タッチが心地良く響きます。

私が学生時代「ブルーノート東京」でアルバイトをしていた時、働きながら彼の演奏を見る機会
があったのですが、演奏中あまりにタッチが力強いのでなんとピアノの弦が切れてしまったのです。

実は僕自身、彼の大ファンでして発売されているCDはほぼ全て買い集めました。

ロスアンゼルスに住むようになって、彼が地元のクラブで演奏するというので喜んで
見に行ったことがあったのですが、なぜか客席はガラガラでした。

「これはいかん、世の中間違っておる!」と思った僕は三日連続で彼のライブを見に
行きました。

彼がすでに亡くなっており二度と彼の演奏を聴くことができない今にして
思うと、「あの時に5日連続で行っておけばよかった」と後悔しています。

ミッシェル・ペトルチアーニは名門ブルーノートレーベルと契約し、パリからニューヨークに
移り住みました。

しかし晩年またパリに戻り、フランスの新興のドリフェス・レーベルと契約しました。
ドリフェスレーベルではオルガンのエディ・ルイスとの競演作があります。

   



 ミッシェル・サダビィ

上記の二人ほど有名ではありませんが、この人もミッシェルで始まるピアニストです。
いわゆる「カクテルピアニスト」というミュージシャンにとってはあまりありがたくない称号を与えられていました。

演奏は聴きやすいのですが、ちょっと個性に乏しい感じもします。

日本で人気のある「クレモンティーヌ」に音楽を教えていたというエピソードもあります。

   



さて、前回に引き続いて今回は具体的なフレンチ・ジャズのミュージシャンを紹介していきます。

フレンチ・ジャズを語る上で欠かすことのできないミュージシャンが二人います。

 ジャンゴ・ラインハルト Django Reinhardt (ギター) 

  ステファン・グラッペリ Stephane Grappelli (バイオリン) 

の二人です。

彼らは俗に言う「ジプシー・ジャズ」もしくは「ジプシー・スイング」と呼ばれるスタイルを確立した人たちです。

「ジプシー・スイング」というスタイルは日本ではまだあまりポピュラーな存在なものではないようです。もちろん「ジャズ」自体がそれほどポピュラーな音楽といえない現状で、その中のひとつのスタイルである「ジプシー・スイング」ですからそれは仕方のないことでしょう。

しかし、パリではこの「ジプシー・スイング」はそこそこ生活に浸透しているようで、地下鉄の駅や小さなカフェなど、街中のあちこちでジプシー・スイングの演奏が行われています。

ジプシー・スイングの楽器編成上の特徴は、ベース、ギターが2~3人、バイオリンくらいが一般的でそれにアコーディオンが加わることもあります。

「なぜギターが3人もいるのか?」「1人で充分ではないのか?」とあなたは思うかもしれません。
実は私も最初はそういう疑問を持っていました。

しかしこのような疑問は彼らの演奏を聴きこむと解消するのです。

だいたいソロを取るのは一人で、残された二人は一生懸命伴奏をしています。
それもジャズにありがちなシンコペーション(変則的なリズム)的な伴奏ではなく、4拍子の「ジャ、ジャ、ジャ、ジャ」という単調とも思えるリズムを繰り出します。

この単調なリズムが実はくせもので、フラメンコのように演奏を熱く煽り立てる効果があるのです。この熱い伴奏に後押しされ、ギターの人はソロをまた熱いソロを取ります。

1934年にジャンゴとステファンの二人が中心になって「フランス・ホット・クラブ・クインテット」を結成しました。パリを中心に活躍し、アメリカのジャズミュージシャンにも多大な影響を与えてきました。

ジャンゴは作曲家としても活躍し「マイナー・スウィング」をはじめ「ヌアージュ」、「ティアーズ」などの名曲を生み出しています。

まず彼らのアルバムを聞いてみてください。
ステファン・グラッペリはジャズ・バイオリンの第一人者というべき人で、その演奏は「水を得た魚」のようにすいすいと気持ちの良いソロを聞かせてくれます。

彼らのスタイルはジプシースゥイングとして確立し、今でも、後に紹介するビレリー・ラグリーンやローゼンバーグ・トリオ、リシャール・ガリアノなどに引き継がれています。


   

    






ジャズクラブでジャズを聴く楽しみと言えば、お酒を飲みながらリラックスした雰囲気で音楽を
楽しめるという点だろう。

またステージと客席からステージが近く臨場感が味わえるという点もよい。

僕はジャズはライブで聴くなら断然ジャズクラブで聴く音楽だと思っている。

もちろん、B’zやSMAPのコンサートのように、横浜アリーナや東京ドームで聞いても特に問題
があるわけではないのだが、ジャズクラブのあの雰囲気で聴いたほうがジャズを体で楽しめる
と思うのだ。

実際、今までにカーネギーホールを始め何度かコンサートホールでジャズのコンサートを
聞いたことがあるのだが、コンサートホールの場合どこか自分自身が音楽に入りきれない
というもどかしさを感じた。

物理的にステージから遠くなるという問題もあるのだが、それ以上にステージと客席が一体
となれないような感じがしたのだ。

そういう理由からコンサートホールでジャズを見た後はいつも不完全燃焼感というか消化
不良感を感じてしまうのだ。

夏になると世界各地でジャズフェスティバルが催される。屋外の会場で開催されるものも多く、
こちらは青空のもとビールでも飲みながらもう少しリラックスした雰囲気でジャズを楽しむこと
ができる。

しかしこれもまたジャズクラブで演奏を聴くような、安心感がない。

ジャズクラブで音楽を聴くとクラブの程よい狭さと暗さが落ち着いた感じを与えてくれるのだ。

また演奏の合間にミュージシャンにサインをもらったり、話をしたりすることもできる。
ジャズミュージシャンは気さくな人がおおく、気持ちよくサインしてくれる場合が多い。

そんなわけで、今までに僕は好きなミュージシャンたちからCDにサインをしてもらってきた。

実はフランスで購入したジャズミュージシャンの写真集があるのだが、その本に掲載されている
各ミュージシャンのページに本人からサインをしてもらうことを目指していた。

しかしいつの間にか、忙しくなってジャズクラブにいくことも少なくなり、また紹介されている
ミュージシャンもどんどん他界していってしまった。

時間ができたらまたこの趣味を再開したいと願っている。

 

 

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