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ジャズに関する全ての事を題材にしたエッセイ。
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今回はブラジルとジャズについてのお話です。

ブラジルを代表する音楽と言えばサンバ、ボサノバ、最近ではMPB(エム・ペ・ベと発音する)といわれるブラジルのポップミュージックなどがあります。

そんな中で一番ジャズと結びつきが強いのがボサノバなのです。

ボサノバとはどんな音楽でしょうか?

日本では一般的に「都会的でお洒落でちょっと軽い感じの音楽」という風に捉えられていると思います。

私なりのボサノバの定義は「トム・ジョビン、ジョアン・ジルベルトなどが中心となって確立された音楽で、美しい旋律の曲を複雑なコードチェンジやシンコペーションを多様したリズムで奏でる音楽」とでも言い表せるでしょうか?

ちょっとややこしい話になってしまいました。

ボサノバを楽しむには、とにかく実際に聞いてみることが一番です。

まずボサノバの入門アルバムといえば


スタン・ゲッツ 「ゲッツ・ジルベルト」




ジャズサックスの巨匠、スタン・ゲッツとギター、ジョアン・ジルベルト、ピアノのトム・ジョビン、当時ジョアン・ジルベルトの奥さんだったアストラッド・ジルベルトがボーカルとして参加している最高にお勧めのアルバムです。

このアルバムに入っている「イパネマの娘」は多くの人が一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?

イパネマとはリオデジャネイロにあるビーチの名前です。他にもリオのビーチで有名なところではコパカバーナなどがあります。

この歌詞は山の手からイパネマビーチに向かって歩いていくスレンダーな女の子のことを歌っています。

リオの娘さんって本当にスタイリッシュで可愛い子が多いのです。

この歌の主人公はこの娘にあこがれていますが、彼女は自分には全く気付く様子がありません。

そんな切ない男の子の気持ちを歌っています。

実はこの「イパネマの娘」には実在のモデルがいたのです。

この歌がブラジル中でヒットしたときに「イパネマの娘は誰か?」とブラジル中が熱狂したといいます。

そんな世間が熱狂する中、この「本物のイパネマの娘」は自分のことが歌われているともしらずに、この歌を口ずさみながらビーチに歩いていったといいます。

この歌の作曲家であるトム・ジョビンと作詞家のビニシアス・ジ・モラーレスはついにこのイパネマの娘は誰かを発表したそうです。

僕としては永遠に謎だったほうがミステリアスでよかったのですが。

ブラジルで実際に「本物のイパネマの娘」の写真をみたことがありましたが、かなりきれいな人でした。
ある信頼できる筋からの情報では、彼女は現在も結婚してイパネマビーチの近くに住んでいるそうです。(娘さんがいるならぜひ会ってみたい!)

実は私、大学時代にこの曲にあこがれてブラジルのリオ・デ・ジャネイロのイパネマビーチまで行ってきました。

次回はその時のエピソードやブラジルでのボサノバ事情などを書いて見たいと思います。
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前回に引き続いて今回もフランスのジャズを紹介します。
今回はボーカルです。

ジャズにはミュージシャンに好んで繰り返し演奏されるスタンダード曲というのが多くあります。

これらスタンダード曲の数々はどこから来るのかというと、映画のテーマ曲だったり、ブロードウェイミュージカルの曲だったり、ジャズミュージシャンの作曲だったりします。

それ以外にもフランスのシャンソン、ブラジルのボサノバなどの名曲もスタンダード曲としてとりあげられます。

シャンソンからの名曲としては「枯葉」「ばら色の人生」「セ・シボン」「ラ・メール」などがあります。

当のフランスでは「シャンソン」はもう古臭い音楽という風に捉えられているようです。
モンマルトルにある「ラパン・デ・アジル」というライブハウスで、日本人やアメリカ人の観光客相手に細々とやっている感があります。


シャルル・トレネー 「ポートレイト オブ シャルル・トレネー」

今聴くと、アレンジがちょっと古臭い感じの曲が多いのですが、「Que Reste-T’il De Nos Amours?」は今でも充分に感動できる名曲です。

しかしこれらの古臭く感じられるアレンジの曲も、ジャズ風にアレンジするとまた聴きやすくなります。

これは例えて言うなら「古くなった古民家を柱や梁などの基本構造だけ残して、今風に住みやすくリフォームする」という作業に似ているといえるかもしれません。

パトリシア・カース 「ピアノ・バー」



そんな時代遅れともいえる「シャンソン」を今風に歌うのがパトリシア・カースです。
ジャズとはちょっと違いますが、彼女のスタイルは、例えば「ムーラン・ルージュ」のようなパリのキャバレーで熱唱する姿がしっくりと似合いそうなイメージなのです。

クレモンティーヌ 「カフェ・アプレミディー クレモンティーヌが選ぶボサノバ」



彼女はお父さんがフランス有数のジャズレコードコレクターであり、インディペント・ジャズレーベルのオーナーでもあります。幼少時代に前回に紹介したフランスにピアニスト、ミッシェル・サダビーからレッスンを受ていたそうです。

彼女はボサノバが好きなようで、お洒落で小粋な感じがするボーカルを聞かせてくれます。





今回紹介する曲はバレンタインディにちなんで「マイ・ファニー・バレンタイン」です。

果たして、この曲で歌われている「バレンタイン」はバレンタインディのバレンタインさんと関係があるのかどうかはわかりませんが、とりあえず同じ名前でもあり、紹介しても特に問題もないだろうという判断のもと数曲の「マイ・ファニー・バレンタイン」を紹介することにします。

 

チェット・ベイカー 「マイ・ファニー・バレンタイン」

チェット・ベイカーはトランペットと女性のような中性的なボーカルを聞かせる白人のジャズミュージシャンです。

このアルバムでは甘くとろけるような妖しいボーカルを聞かせてくれます。

 


マイルス・ディビス 「クッキン」

またまたトランペットです。
マイルス・ディビスという人はジャズ史に輝く偉大なミュージシャンなのですが、とにかく気難しく恐い人だったようです。
しかし彼の演奏は特に気難しいわけでも恐いわけでもなく、何度聴いても飽きることがない、優れたものが多いのです。
マイルスはキャリアの中で音楽のスタイルを頻繁に変えていき、晩年はロックやファンクの演奏もしていました。
しかし僕はこのアルバム当時のマイルスの演奏が一番好きです。下に紹介しているビル・エバンスも一時マイルス・ディビスのグループで演奏していました。

 

ビル・エバンス・ジム・ホール 「アンダーカレント」

以前にも紹介したビル・エバンスとギターの名手、ジム・ホールとのデュオの作品です。
普段はスローなバラードとして演奏される「マイ・ファニー・バレンタイン」をここではアップテンポで演奏しています。二人のミュージシャンによるインタープレイとよばれる息のあった掛け合いが素晴らしい作品です。
 

話はそれますが、僕が住んでいるカナダではバレンタインディというのは日本のように「女の子が男にチョコをあげて愛を告白する日」というわけではありません。

どちらかというと男性が女性に花をおくり、ロマンティックなレストランで食事をする日という感じのようです。言ってしまえば、日本でのクリスマスのようなものです。

おかげでこの日は街中のレストランは大忙しです。 

映画「サウンド・オブ・ミュージック」にも使われた名曲ですが、最近ではJR東海の京都のCMにも使われています。私自身、京都の出身なのでこのCMを初めて見たのは大学生になって東京に住むようになってからでした。当たり前の話ですが、京都ではこのJR東海の「そうだ、京都へ行こう」というCMは(多分)放映してないのです。

この曲のはいっている代表的なアルバムはなんと言っても

ジョン・コルトレーン 「マイ・フェイバリット・シングス」

ジョン・コルトレーンという人はどちらかというと、ややこしい演奏をする人です。日本での彼のイメージとしては「全共闘時代に革命を目指す学生達がジャズ喫茶で聴いている音楽」というように定着しています。

しかしこのアルバムはそんなむずかしい理屈とか思想とかは全く無視して、楽しく聴くことができます。マッコイ・タイナーのピアノも激しく、情熱的で熱く聴ける一枚です。

ジョン・コルトレーンの他のアルバムを買う人はフリー系のものに手を出さないように充分に注意してください。
私自身、大学生の時中古レコード屋で「アセンション」というアルバムを買って、レコードに針を落として30秒ほど聴いて、全くわけが分からずに止めてしまいました。その後はこのレコードはタンスの奥ふかくにしまわれ、二度と聞いていません。

ワンポイントアドバイス:フリージャズとは何か?

「フリージャズ=前衛的でややこしいジャズ」という風に覚えましょう。私自身ほとんど聴いたことが無い(前述の30秒のみ)ので詳しくは解説できませんが、とにかく秩序というものがない演奏です。でももしあなたが、聴いてみて楽しいと思うのであれば、それはそれでいいことだと思います。


さて次の一枚は

ビル・エバンス 「ビル・エバンス・ザ・ソロセッションス・ボリューム1」

このアルバムの中ではメドレーの中で「マイ・フェイバリット・シングス」が演奏されています。
これからもたびたび登場することになりますが、ビル・エバンスは僕の大好きなピアニストです。ほとんどのジャズファンが大好きなピアニストでしょう。
今までに「ビル・エバンスのことが嫌いでしょうがない」というような人にあったことはありません。

ビル・エバンスは「耽美的とかリリカルなジャズピアニスト」という風に称されます。
このアルバムは「静かに人生について考えてみたい」というような内省的な時間をおくるときにはうってつけの一枚です。

三枚目は

ドン・フリードマン 「マイ・フェイバリット・シングス」

ドン・フリードマンというピアニストはあまり有名ではないのですが、地味ながらも知的で味わい深い演奏を聞かせてくれます。

かなり昔、ニューヨークの小さなジャズクラブで演奏を聴きに行ったときに、サインをもらったのですが、すごく気さくなやさしいおじさんでした。

演奏はビル・エバンスの影響があるという人もいますが、彼本来の世界というものも充分に確立されています。これといった特徴があるスタイルではないのですが、その分何度聴いても飽きがこないスタイルになっています。

もっと彼の演奏が多くの人評価されることを願っているのです。

 

 

この曲は幾度となくテレビのコマーシャルにも使われているので、この曲のメロディを聴くと「どこかで聞いたことがある」と思う人もいるでしょう。

まずこの曲のメロディを覚えてみましょう。
このメロディを覚えるのに私が最適と思うアルバムは

アストラッドジルベルト 「アストラッド・ジルベルト ベストヒッツ」

 アストラッド・ジルベルトはブラジル人でジャズというよりはボサノバの歌手です。
聴いてもらって分かるように歌唱力は決して高いというわけではありません。
一般に「ヘタウマ歌手」といわれるのの元祖的な存在です。

けっして上手くはないがどこか味のある歌い方をする人です。
いいようにゆうなら「癒し系」というふうにもいえるかもしれません。

メロディを覚えたらこの曲が入っているアルバムを見つけて、ジャズミュージシャンがこの曲をどのようにアレンジしているかに注目して聴いてみましょう。

できれば3バージョンくらいの「フライミートゥーザムーン」を聴いてみましょう。

お勧めは

ケニー・ドリュー 「ケニー・ドリュー・バイ・リクエスト2」

日本企画のアルバムですが、スタンダードを中心に難しいことは一切なく、初心者でも楽しめる内容になっています。

オスカー・ピーターソン
「酒とバラの日々 ベスト・オブ・オスカー・ピーターソン」

カナダの生んだ偉大なテクニシャン、速弾きだけではなく、魂のこもった演奏を聴かせます。

ロブ・シュナイダーマン 「スタンダーズ」

こちらのアルバムは有名なものではないですが、演奏は分かりやすく温かみのあるピアノを聴かせます。


3曲の「フライミートゥーザムーン」を聴いてみていかがでしたか?
今回取り上げたのはどれもピアノトリオですが、演奏する人によって曲の印象が大きく変わることに気がついたでしょう。

最初は原曲をもとにしたテーマメロディーを演奏して、その後は原曲のコード進行を使ったアドリブで演奏しています。

このアドリブの部分にそのミュージシャンの持つ個性がこめられています。

この個性の部分を聞き比べてみてください。

その際に理屈ではなく「どちらが気持ちよく聴けるか?」「どちらが好きか?」というように自分の感性を重視して判断してください。

あなた好みの演奏がみつかったかもしれません。

この曲のほかのミュージシャンによる演奏をもっと聴いてみたいと思う人はどんどんと聴いてみるとよいでしょう。

 

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