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ジャズに関する全ての事を題材にしたエッセイ。
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ジャズの歴史は奥が深く、真剣に学ぶとなると、かなり複雑でややこしいことになってしまいます。
 
ここでは初心者の方々にもわかりやすいように、ジャズのスタイルの流れを大まかに示してみます。
 
どの時代にどのようなスタイルのジャズが演奏されていたのかを大まかに把握するとジャズを聴く楽しみも広がります。
 

>ラグタイム 1900年頃~

スコット・ジョップリンによる数々の名曲が生み出された。
ポールニューマン、ロバートレッドフォード主演の映画「スティング」にも「エンターテイナー」や「Solace」などラグタイムの名曲が使われている。

 
>ディキシーランドジャズ 1900年~

ジャズはニューオリンズで発祥しました。
当時は鼓笛隊のようなブラス(管楽器)を中心とした中編成のコンボが多かった。
 
今でもニューオリンズのバーボンストリートを訪れればこのようなスタイルのジャズが演奏されている。もはや伝統芸能の域に達したジャズということができる。
 
曲では「聖者の行進」などが有名

 
>スィング 1920年~

ビックバンド全盛期、デューク・エリントン、カウントベイシー、ベニー・グッドマン、などが率いるビックバンドが盛んになった。
全米の各都市には多くのジャズクラブが作られダンス音楽としてももてはやされた。
ニューヨークのコットンクラブはその代表格。当時の様子は映画「コットンクラブ」でも見ることが出来る。

 
>ビ・バップ 1940年~

ビックバンドで演奏したミュージシャンが仕事の後で小さなクラブに立ち寄り、小編成でもっと自由にジャズの演奏を行なったのがビ・バップの始まりとされる。特に「ミントンズ・プレイハウス」では大物ミュージシャンによるビ・バップスタイルを生み出す演奏がなされた。

ここではビックバンドにおける演奏よりも、より自由なアドリブを中心とした演奏がなされた。
 
チャーリー・パーカーやディジー・ガレスピー、バド・パウエルなどがビ・バップの創始者といわれる。

 
>モダン・ジャズ 1950年~
 
ビ・バップのスタイルをもとにハード・バップ、ファンキー、クール、ウェストコーストなどの様々なスタイルのジャズが派生した。
 
どのスタイルもビ・バップの派生的なもので、これらをひとくくりに「モダン・ジャズ」と呼ぶことができる。

 
>モード、フリージャズ、フュージョン 1960年~
 
モダン・ジャズからさらに発展したジャズのスタイル
 
モードは「細かいコード進行にとらわれず、もっと自由な発想で演奏したい」という発想から生まれた。コードに関連性がないため、アドリブがどうしても機械的、無機的な感がある。悪くいえば演奏に「ウタゴコロ」がなく好きな人には良いかもしれないが、普通の人にはちょっときつい。
 
僕自身の気持ちとしてはモーダルなアドリブをスパイス程度に演奏にちょこっと入れる分には耳に新鮮で心地よくいいのだが、アドリブがずっとモーダルだと聴いていて正直苦しい。
 
60年代以降のマイルス、コルトレーン、マッコイ・タイナーなどがこれらモーダルな演奏を残している。

 
>フリージャズ

極限まで自由に演奏するのがフリージャズでそこにキマリゴトは全くない。
初心者にはかなり厳しい音楽です。初心者だけでなく、かなりジャズを長く聴いているひとでも「フリーは受けつけない」という人も多いのようだ。
ジャズ史上における「ひとつの実験的な試み」と捕らえてみる方が良いだろう。

 
>フュージョン

クロスオーバーともいわれる。ようはジャズとロックなど他のジャンルの音楽とを融合させたもの。70年代に特に盛んになった。
 
ウェインショーター率いるウェザーリポートなどが有名。

 
>そして現在のジャズのスタイルは?
80年代~現代
 
70年代に様々な発展を遂げたジャズだが、少々行き過ぎの感もあった。
その反省を踏まえて80年代以降は50年代~60年代前半のモダン・ジャズの原点に回帰するという方向性にもどってきている。
 
もちろん今もフリー、フュージョンのスタイルで演奏するミュージシャンもいる。
しかし、今のジャズ界の主流は、いたずらにあらたなムーブメントを作り出すことではない。それよりもモダン・ジャズの延長戦上にある「フォービート」のなかでいかに自分らしい個性を出すかということが重視されている。
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現在では50~60年代に活躍したほとんどのジャズ・ジャイアンツはこの世を去ってしまった。

60年代後半にデビューした当時、期待の新人だったジャズミュージシャン達が、現在では巨匠に相応しい風格を兼ね備え、現役でバリバリと活躍している。
 
ここでは特に有名な現在3大巨匠ピアニストを紹介する。彼ら3人のピアニストは皆マイルス・ディビスのグループで演奏していた経歴をもつ。マイルスグループはジャズエリートの登竜門であったといえよう。
 


ハービー・ハンコック 
 
大ヒットしたロックイットなどジャズにとらわれずに様々な分野の音楽に挑戦した。ピアノトリオによる録音は極少数。ここでは比較的最近録音された
 
「ガーシェイン・ワールド」
ガーシュウィン・ワールド ガーシュウィン・ワールド
ハービー・ハンコック

曲名リスト
1. Overture (Fascinating Rhythm)
2. It Ain't Necessarily So
3. Man I Love
4. Here Come de Honey Man
5. St. Louis Blues
6. Lullaby
7. Blueberry Rhyme
8. It Ain't Necessarily So (Interlude)
9. Cotton Tail
10. Summertime
11. My Man's Gone Now
12. Prelude in C Sharp Minor
13. Concerto For Piano And Orchestra In G, 2nd Movement
14. Embraceable You
15. Someone to Watch over Me

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チック・コリア   

ラテン系の血を持つチック・コリア。アコースティックバンドとエレクトリックバンドを使い分ける。
 
70年代に大ヒットした「リターン・トゥー・フォーエバー」も彼の手による。 
 
チックの作曲による「スペイン」はラテン系の血をもたずとも熱くなれる名曲
 
「スタンダーズ アンド モア」
 
スタンダーズ・アンド・モア スタンダーズ・アンド・モア
チック・コリア・アコースティック・バンド チック・コリア ジョン・パティトゥッチ

曲名リスト
1. ベッシーズ・ブルース
2. マイ・ワン・アンド・オンリー・ラヴ
3. ソー・イン・ラヴ
4. ソフィスティケイティド・レイディ
5. 枯葉
6. いつか王子様が
7. モーニング・スプライト
8. T.B.C.(ターミナル・バゲッジ・クレイム)
9. サークルズ
10. スペイン(ロング・ヴァージョン)

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キース・ジャレット  
 
クラシックのアルバムも録音するキース・ジャレット。ソロの作品は自分の世界に引きこもりすぎな感があるが、一連の「スタンダード」シリーズは彼の個性とスタンダード曲のもつ
なじみやすさがうまく融合して楽しめる作品が多い。
 
「ウィスパーノット」
ウィスパー・ノット ウィスパー・ノット
キース・ジャレット・トリオ

曲名リスト
1. バウンシン・ウィズ・バド
2. ウィスパー・ノット
3. グルーヴィン・ハイ
4. チェルシー・ブリッジ
5. ラップ・ユア・トラブルズ・イン・ドリームズ
6. ラウンド・ミッドナイト
7. サンドゥ

1. 恋とはなんでしょう
2. コンセプション
3. プレリュード・トゥ・ア・キス
4. ハルシネーションズ
5. オール・マイ・トゥモロウズ
6. ポインシアーナ
7. ホエン・アイ・フォール・イン・ラヴ

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久しぶりの更新です。
 
さて今回ご紹介するのはあのビル・エバンスです。
 
ビル・エバンスといえばあまりに偉大で、今までに多くの方が多くのことを書いてきたので、「さて何を書いたものか」と戸惑ってしまいます。
 
ジャズ界におけるビル・エバンスの存在をどういえば、初心者の方にわかってもらえるでしょうか?
 
しいて例えるなら、フランスサッカー界におけるミッシェル・プラティニ、日本映画界における小津安二郎、中華料理界における陳健一(?)ということができるでしょうか?
 
さて、ビル・エバンスはその演奏スタイルを「耽美的」と評されることが多いようです。
確かにその演奏に耳を傾けると滑らかで、つやがあって、深みがあります。
 
往年のビル・エバンスの演奏を聴いていると、まるで12年もののシーバスリーガルを舌の上で転がしているような至福のひとときが得られます。
 
今まで黒人の音楽であったジャズを白人としてクールに演奏したこともビル・エバンスの功績といえるでしょう。
 
うんちくが長くなってしまいました。
 
今回ご紹介するのは3枚です。
 
「ワルツ・フォー・デビー」
ジャズピアノの初心者向けレビューでは必ずと言っていいほど紹介されるビル・エバンスの代表的アルバム。同日に録音された「サンディ・アット・ビレッジバンガード」もあわせてお試しください。
 
「ビル・エバンス・アットタウンホール」
ニューヨークタウンホールの録音、エバンスのお気に入りの曲がたくさん演奏されています。僕がジャズを聴き始めてまもなく買った作品です。
 
 
「ポートレートイン・ジャズ」

このアルバムに入っている「枯葉」は超有名。
他のミュージシャンの演奏する「枯葉」と聴きくればればビル・エバンスの個性が何か良く分かります。ついでにスコット・ラファロのベースにも耳を傾けてみてください。
 
ビル・エバンスのピアノは何年聴いても飽きるということがありません。
 
ほとんどのジャズのレコードは、いっとき気に入っていても、聞きすぎると少し食傷気味になるのですが、ビル・エバンスに関しては20年以上聞いて言いますが、自分の中で全く陳腐化しないのです。

これが本物の証ということでしょうか。

今回はイギリスのジャズを紹介します。

完全な偏見なのですが、僕の頭の中ではなぜか「イギリス」と「ジャズ」というのはうまく結びつかない印象があります。

イギリスと「パンク」もしくは「ロック」、あるいは「クラシック」というとまだしっくりくるのですが、なぜかイギリス人(イングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランドを含む)にジャズは向かない気がするのです。

「じゃあメキシコとジャズがマッチするのか? モロッコは?イランは?」と聞かれても困るのですが、なんとなく、ジャズと相性がいい国、悪い国というのがあるような気がするのです。

しかしながらイギリスからもワールドクラスのジャズミュージシャンはでているのです。

イギリス出身のジャズミュージシャンといえば、まず第一にジョージ・シアリングでしょう。

ジョージ・シアリングといえば、あの名曲「バードランドの子守唄」を作曲した盲目のジャズピアニストです。

僕はジョージ・シアリングのライブを今までに2回みたことがあるのですが、この「バードランドの子守唄」を演奏する前にはいつも

「私は今までに星の数ほどの曲を作曲してきました。でもそのほとんどは消えてなくなりました。これから演奏する曲は、例外的にひとつだけなくならなかった曲です。」

というようなユーモラスな紹介をしていました。

ジョージ・シアリングの演奏スタイルはきわめてオーソドックスなものでまさにジャズピアノのお手本といった感じです。

昔読んだ彼のインタビューには「好きなピアニストはハンク・ジョーンズ」と書かれていました。
確かにハンク・ジョーンズにも通じるものがある真面目なスタイルといえるでしょう。

ジョージ・シアリングには若かりしころにナット・キングコールと競演したアルバムがあります。
また晩年には残念ながら最近なくなった大物男性ジャズ・ボーカリスト、メル・トーメとの競演が多くありました。
僕が見たライブは二回ともピアノトリオにギターを加えたカルテット編成で行われていました。

彼は演奏中、自分のソロの番がまわってくると、「もう少し聞きたいな」と思わせるくらいでソロを打ち切ってしまいます。聞き手はちょっと欲求不満というか、物足りなさを感じるのですが、考えてみるとこの「出し惜しみ」が彼の魅力なのかもしれません。

強引に例えるならば、昔あった焼肉のタレの宣伝か何かで、肉をもっと食べたいと思う家族にお母さんが、「足りないくらいがおいしいの」という言葉にも通じるものがあります。


もう一人イギリス出身のジャズミュージシャンで忘れてはならない人に、マリアン・マクポートランドという女性ピアニストもいます。

若かりしころの彼女のピアノスタイルは英国調ジャズともいえるエレガントなもので、本来はアメリカらしく、ファンキーでブルージーなジャズを、貴族の集う舞踏会ででも似合ってしまいそうな品のある演奏にしたてあげています。これはこれで結構好きです。

村上春樹さんが翻訳した「バードランド」という自伝のベーシストが彼女と競演していたようで、そのあたりの事情が詳しく書かれていました。

この人はピアノジャズというラジオ番組でビルエバンスなどの大物ジャズミュージシャンをスタジオに呼び、競演しています。それがシリーズになっているので、試してみてください。




前回に引き続きブラジルのミュージシャンを紹介します。
 
日本ではなぜか「イリアーヌ」という名前で売り出されているようですが、日本以外では「イリアーヌ・エリーアス」とフルネームで呼ばれています。
 
この「イリアーヌ」はトム・ジョビンの曲を中心にジャズを演奏するサンパウロ出身のブラジル人美人ピアニストでクールなボーカルも聞かせてくれます。
 
ピアノはちょっと軽めのタッチですが、女性らしく品のあるスタイルです。
 
僕が始めて彼女の演奏を聴いたのは、ロスアンゼルスで自動車の運転中にラジオを聴いていた時でした。ちょうど「NO MORE BLUES」(想い溢れて)の演奏だったのですが、「これは好みのピアニストだ」と車を路肩に止めて演奏に聞き入りました。
 
演奏の後、DJが曲名、アルバム名、演奏者名をアナウンスするのですが、それは「ファンタジア」「イリアーヌ・イリーアス」と聞こえました。正確なスペルもわからないので、とりあえず、カタカナで聞こえた名前を書き取り、後日「タワーレコード」に向かいました。
 
なんとか「Eliane Elias」のセクションをみつけ「No MORE BLUES」の入っているのを確認してCDを購入しました。
 
彼女はジョビンの曲をオリジナルのコードをチェンジして弾くことが多く、例えば、「ファンタジア」に入っている「イパネマの娘」聴いてみるとオリジナルとは全く違った印象を与える仕上がりになっています。
 
その極めつけともいえるのが


「Eliane sings Jobim」




ほとんどのジョビンの曲をオリジナルのコードを全て変えて演奏しています。
 
トロントに住んでいた時に一度だけ彼女のライブを見たことがありました。
それはジャズクラブではなく、日本でいう「何とか市民ホール」のようなところでの演奏でした。ベースには晩年のビル・エバンスのグループで演奏していたマーク・ジョンソン、ドラムには日本人のタケイシ・サトシという人によるピアノトリオの構成でした。
 
残念ながら、当日コンサート会場はガラガラ、半分も埋まっていなかったのではないでしょうか?
彼女の人気がないわけではないので、現地のプロモーターの宣伝不足だと思われました。
 
彼女のMCで初めて肉声を聞きましたが、あの美人の顔からは想像もつかないほどの低音の声だったのが印象に残っています。
 
ジョビンの曲をジャズ風に洗練されたピアノやボーカルで聴いてみたい人には超オススメのミュージシャンです。


その他のオススメアルバム


「Fantasia」




「The three Americas」



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